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新・南天通信

2011.6.18

「おもいやる」

秋桜舎に通っておられる庄二さんから電話があった。少し相談があるから、時間を取ってくれということであった。庄二さんは、ご自身も要介護の状態であられながら、奥さんを何年も介護された経験をお持ちであった。

 

交流室で向き合ったとたん「会長さん、一つお願いを聞いてもらえんやろか」との切り出しに、思わず身構えてしまった。合併前の町会議員などもなされ社会的経験も豊富で、かつ介護保険のことについてもかなりの見識をお持ちの方なので、苦情かきつい意見をいただくものと思ったからである。

「ここに来ていただいている桃子さんとご主人に、何とか表彰状を上げたいと思ってる。会長のお許しをもらったら、私の後輩の市会議員を通じて役所に申請しようと思っている。送迎や餅つきの時のご主人のあのお世話の姿を見ていると涙がこぼれてきますわ。ご主人自身も手に障碍を抱えながら、毎日毎日、しかも愚痴も言わず、暗い顔もせずに・・・そしてあの仲の良さは世の中の見本ですわ!」

 

庄二さんの涙ぐみながらのお話に、私もとても嬉しくなった。「庄二さん、本当に嬉しい話しありがとうございます。常々私も、桃子さんご夫婦の様子には感心しておりましたが、そこまでのことは考えていませんでした。是非、お話進めて下さい!」と答えさせてもらった。

 

桃子さんは比較的早い時期からパーキンソン病を抱えておられて、ここにきてまた歩きや食事やトイレの力が弱くなってこられている。しかし元々とても穏やかで明るい性格の方で、ご自分の出来なさ加減には殆ど左右されることなく「あらそう、今日は足が出にくいの?」と笑いながら答えて下さる。

 

ご主人の清二さんは関東の出身ということもあって、とてもあっさりとした方で「しようがないよ、二人で助け合って生きていくしかないからな」といつも前向きである。

 

そんな、桃子さん、清二さんの強さと、そのお二人を思いやられる庄二さんのやさしさに、また生きる力をいただいた。

 

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